KAIZEN REPORTブログ

2022.6.30 | アクセス解析の改善

既存のランディングページを改善しながら、CVR向上に成功したLPO事例-調査・分析編-

既存のランディングページを改善しながら、CVR向上に成功したLPO事例-調査・分析編-

「CVRを改善したいが、ランディングページを新たに制作するべきか?

それとも、今運用しているランディングページを生かして、改良を加えるべきか?」

コンバージョンラボがマーケッターの方々からいただくご相談のうちの1つです。これは、既存LPの運用内容や現時点での成果(パフォーマンス)、今後の課題や目標達成時期など様々な条件・要因によって個社ごとに最適な選択が変わってくるもので、どちらが正しいという画一的な答えがあるわけではありません。

だから、コンバージョンラボでは、個別で具体的な状況を把握し、最適な選択を日々提案しています。

今回の記事では冒頭の相談内容例の後者にあたる今運用しているランディングページを生かして、コンバージョン率を改善していく施策(=LPO)にフォーカスし、直近で取り組んだ実例を交えながらCVR改善に成功したプロセスを紹介できればと思います。

既存LPを改良し、継続的にコンバージョンを改善。結果的にCVRは3倍に増加。

今回、事例として紹介するのは、東大や早慶に通う現役大学生がコーチとなり、中学生や高校生にオンライン上で個別の学習指導を行うサービス「スタディコーチ」を運営している株式会社Buildsさまと取り組んだ既存ランディングページ改善プロジェクトです。

当初、コンバージョンラボがBuildsさまから受けた相談は、「すでに広告の受け皿となるLPをつくっていて、運用しているが、思ったように成果をあげられていないため、もっと獲得できるページにするために、新たにLPを制作してほしい。」といった主旨の内容でした。

ただ、ご相談いただいたその時期が、学習塾などへの入学を検討する最も盛んな繁忙期に差し掛かりそうなタイミングでもあったため、新しくLPを制作/刷新するための入念な準備や必要なプロセスを踏んでいくための時間的な余裕はなく、今すぐにでもCVR改善の対策が必要な状況であることが話を通じて見えてきました。

現実問題、成果を上げるためのランディングページをゼロベースで準備する制作工数を考えると、ビジネスチャンスである繁忙期を制作期間に費やしてしまうことになるため、戦いもせずに機会損失してしまうのは明らかです。

以上のような状況からコンバージョンラボは、今すでに運用している既存のLPを生かして、目的を達成する方法(既存LPの分析・改善)をご提案することにしました。

ここで、既存LPを生かしたコンバージョン改善の施策内容をもう少し噛み砕いて説明すると、成果(=コンバージョン)に至るまでのプロセス(導線)のどこかに潜んでいるボトルネックを抽出し、その部位に効果的なテコ入れを行い、A/Bテストで検証をしながら、成果(コンバージョン率)を高めていく方法で、一般的には、LPO(ランディングページ最適化)と呼ばれるものです。Buildsさまからも、既存LPを生かしたLPO提案をすぐに受け入れてもらい、目標達成に向けて早々にプロジェクトを開始することになりました。

このプロジェクトでの成果(効果)がどうだったかを先にお伝えすると、本記事のタイトルにも記載の通り、開始4ヶ月後にはコンバージョン率が初期のCVR値から3倍に改善することができました。実際には、一定のスパンでページの改修と検証を連続的に繰り返していくため、段階的にCVRが改善されていき、結果的に初期の状態と比較すると3倍まで伸びたという表現の方がより適切かもしれません。

ランディングページの改善事例

このように段階的にCVRを引き上げることができたため、1年の中でも繁忙期のビジネスチャンスを逃すことなく、既存LPを上手に活用しながら、売り上げ拡大につなげられるのは、LPOを採用する大きなメリットでもあると言えます。

ちなみに、コンバージョン率が3倍とは、どれだけインパクト(効果)があるのか?を念のため補足すると例えば、100万円で獲得していた成果を、およそ30万円で獲得できるようになるという、広告コストの削減効果(コスト削減)という点で評価することもできれば、100万円の出費で、300万円分に相当する広告効果を得られたと評価(=生産性アップ)することもできます。ここで例にあげた数字は仮の金額ですが、大きな金額(任意の数字)に置き換えた時に、改善インパクトがどれくらいあるのかは、より具体的にイメージできるのではないでしょうか。

(参考記事)

コンバージョン(CV)とは?マーケティングの成果を可視化する上で、把握しておきたいCVの基礎知識

https://conversion-labo.jp/report/analyze/10376/

ー調査・分析フェーズー既存LPの調査分析から、テコ入れすべき改善部位を特定する

まず最初に取り組んだことは、調査分析や情報収集です。これは基本中の基本でありながら、割とこの業務自体に苦手意識を持っている方が多かったり、客観的に自社のサービスをみられない、その業務自体に時間を割り当てられないなど、様々な理由・諸事情で、クライアントサイドでの社内調査や原因の分析が行われていない場合が多くあります。あるいは、担当しているweb制作会社がそこまで踏み込んだサポートをしていないというケースもあり、原因がわからない、ボトルネックが見えない、問題に気づけないという状態のまま、ランディングページを運用しているケースも今回に限らず、他の会社様でも多く見受けられるのが実情です。

クライアントのLPO対策を代行する以上、CVRの改善は必須そのためにクライアントのサービスや事業・ビジネスへの深い理解や既存LPの現状分析は必要不可欠です。ただのテクニックをなぞっただけの改善施策だけでは、結果もその後の検証も空振りになることが容易に想像できてしまいます。地道ではありますが、商品やサービスの理解や現状分析に時間をかけていくことは、コンバージョン改善をするための最短ルートだと言えるでしょう。

具体的には3つの軸で調査/分析・情報収集を実施し、限られた時間の中で、何を訴求していくことが最も成果改善につながるのか?を探っていくこととしました。

既存LPの導線・パフォーマンスを把握する

既存LPが、そもそもどういう経路で、どれほどの成果が上がっているのか?

すでに設定されているGoogleアナリティクスの詳細を分析し、数字ベースで現状のパフォーマンスを客観的に把握することができます。

Googleアナリティクスからは、過去から現在までのセッションやコンバージョン率の推移をはじめ、どんなユーザーが、どういう経路でやってきて、対象のランディングページに着地しているのか、LPに入ってくる手前の導線(流入)と、どこに向かっているのか?という出口、どれくらいの割合で成果に転換しているのか?を、LPを中心に入口と出口の導線全体像を把握することができます

そのため、ユーザーを受け止めている既存のランディングページに、どういうコンテンツがあるべきか?どういう状態にユーザーを導いていくべきなのか?など、俯瞰してコンバージョン率を改善していくための考えるヒントを得ることができます

ヒートマップ

本プロジェクトでは、このGoogleアナリティクスの数値から見えてくる傾向をクライアントと一緒に確認していきながら、さらに一歩踏み込んだヒアリングを行っていったことで、どういうユーザーが、どんな期待を持って、このLPに訪れているのか?というのがより鮮明に、具体的に見えてきました。

その上で、スタディコーチはどういう価値を提供しているサービスなのか?、その立ち位置や特徴を明確に見せていくことがこのプロジェクトでは重要だという気づき/発見へとつながっていくことになりました。

(関連記事)

Googleアナリティクスの基本的な使い方や管理画面の見方を解説!

https://conversion-labo.jp/report/analyze/10376/

既存LPのボトルネックを見つける

次に既存LPをユーザーがどう閲覧し、どのようにページ上を動いているのか?

Googleアナリティクスの分析から得られる俯瞰的な導線の全体像よりもさらに細かい粒度で、ランディングページ上のユーザーのリアルな動きを知るためにヒートマップ分析を実施しました。

ちなみに、コンバージョンラボではPtengineというヒートマップ付きアクセス解析ツールを利用することが多いため、こちらの解析タグを実装し、ユーザーのLP上での動きを可視化。ページ内でユーザーがどこに注目して、どこのボタンをクリックしているのか?、またはどの地点で離脱しているのか?、ランディングページ上でのユーザーのおおまかな動向を掴んで、今、ボトルネックとなっている箇所を絞っていく作業を行いました

(関連記事)

ヒートマップツールを用いたランディングページの分析・改善のポイント

https://conversion-labo.jp/report/lp_design/6508/

本プロジェクトの場合、このヒートマップ分析からボトルネックを抽出して見えてきたポイントをいくつか例にあげると下記のような問題点が見えてきました

ヒートマップ

●見せるべき地点で、自社の強みや魅力をうまく伝えられていないため、結果的に何をしてくれるサービスなのかが伝わりづらい状態になっている。

●サービス説明を丁寧にしようとしているが、複雑で小難しいサービスに見えてしまって、ユーザーの離脱が多くなっている

●盛り沢山に様々なことを伝えているが、ユーザーにとっては不要な情報と判断されているページ構成になっている。

●ユーザーは問い合わせをしたいが、ここに問い合わせをしてよいのか?迷ってしまう・誤解を与えている要素が一部見受けられる

先にあげたGoogleアナリティクスでの分析傾向と同様に、ヒートマップの傾向をクライアントと一緒に確認していきながら、マイナスをゼロにする改善とゼロをプラスにする改善を仕分けていくこととなりました。

既存LPのどこを改良すればよいか、アタリをつける

次に見たのは、どこで成果を上げているか?という成果発生地点の特定と成果発生に至るまでに、ランディングページ上のどのコンテンツを注視したか?というヒートマップ分析の中でもさらに専門的な使い方になる、特定条件に絞ったユーザーに限定して、ヒートマップを出力する分析方法です。

ヒートマップ

実際には、コンバージョンに至ったユーザーがページ内のどのコンテンツを注視し、どこに設置したボタンからコンバージョンが生まれているのか?という具体的な成果発生地点を探ったということになります。これにより、もっとも成果地点が発生したランディングページ内の重要な箇所を特定し、その部位を最優先ポイントとし、改良を加えていくよう、優先度を整理し、改善案を準備していくフェーズに入っていくことになりました。

ー考察フェーズー何を伝えるべきか?を本サービスが持つ独自の強みを考察する

スタディコーチの強みがどこにあるのか?を今一度整理すると、東大生をはじめとした難関大学の現役大学生から、オンライン上で個別指導が受けられるという点が事業上の強みです。実際には、この強みをユーザー目線でどう魅力的に伝えていくのか?という情報の翻訳が必要であると、調査分析を通じてコンバージョンラボは考えました

例えば、テレビCMなどでも露出している大手学習塾のプロ講師と比べて、スタディコーチの講師が持つ魅力は生徒にどう見えるのか?という視点です。機能面で整理してみれば、個別指導を受けられることやオンラインだから、東京に限らずどこにいても授業を受けられることがあげられますが、それ以外のソフトな部分に視野を広げてみると、プロ講師(=大人)と現役大学生(=お兄さん/お姉さん)という、生徒から見える心理的な距離の近さ、相談のしやすさという点で、優位な立ち位置であるということが見えてきます。

しかも、直近で難関大学を突破したという鮮度も強みでしょう。そういったロールモデルとなる先輩から、勉強のやり方(=どう学んだか?)を教えてもらうという価値提供は、大人のプロ講師には逆に提供しづらい価値だという視点に行きつきます。

ユーザーが困っていること、サービスに期待していることは何か?

実際にスタディコーチが日々受けているユーザーからの相談内容を具体的に調べていくと、学習塾や個別指導塾が必ずしも競合しているわけではないことが見えてきました。というのも、このサービスを求めているユーザーは、さまざまな形式の学習塾に通っている生徒も多く、その上で、「自宅で学習ができるようにしてほしい=自主学習の習慣化や自習ノウハウを習得させたい/したい」という期待をスタディコーチのサービスに向けており、従来の学習塾とは、別軸で棲み分けされているようなニーズが存在していることを発見できました。

こういった気づきや発見は、実際にスタディコーチ に寄せられた相談内容をしっかりと調査/精査する。ということで初めて見えてきたもので、アクセス解析ツールなどの数値データだけでは発見できない情報でもあります。

このように、分析は定量的なものだけに捉われるのではなく、定性的なところにも視野を広げていくことで効果的な改善施策の考案につながっていくこともあります。

LPの方向性考察

以上のような調査や分析を行うことで、現状の既存LPでは、ユーザーが期待しているニーズにフィットしたメッセージやベネフィットを発信できていない。という結論にいたり、

LPでボトルネックとなっている箇所を重ね合わせた上で、訴求メッセージの改善、コンテンツ/ビジュアルの改善、シナリオの改善、それらを踏まえた要素組み換えのテストを行なっていく方針を定めました。

改めて別の記事では、具体的にどのような検証テストをどういうプロセスで行なっていったのかを続編としてご紹介できればと思いますが、このように前提の分析や調査をクライアントと併走しながら進めていくことで、新たな発見や価値に気付くことができるため、改善策や解決策が行き詰まっているという際には、このような選択肢があるということも1つ検討いただければと思います。

コンバージョンラボのランディングページ分析・改善支援サービスはこちら

https://conversion-labo.jp/lp_kaizen/