KAIZEN REPORTブログ

2023.1.31 | アクセス解析の改善

【実践編】ランディングページの成果を左右する業界別のユーザーニーズの捉え方

<序章>

ランディングページの成果を決定づける要因の1つに、「ユーザーが求める情報が網羅できているか」という指標があります。

より厳密に分解すると、「ユーザー(=ページ流入者)求める(=意思決定に必要な)情報が網羅できているか」という定義になります。

つまり、どんなに力を入れて制作されたページであったとしても、流入したユーザーにとって有意義な情報でなければ、意思決定=コンバージョンに至らないページになってしまいます

これは当たり前のようで、実はできていないページが多く散見されるのが現状です。

また、「当たり前である」という先入観があるため、「出来ているつもり」という思い込みに陥ってしまい、結果として、なぜ成果が出ないかわからないという迷宮に入りやすいことも1つの特長です。

実際に成果が出ないと弊社にお問い合わせいただく企業様のページでも同様の現象が多く見られます。

今回の記事では、

なぜユーザーがコンバージョンしづらい情報伝達が起きてしまうのか?

どうすればコンバージョンしやすい情報設計ができるのか?

これらの疑問にお答えする、「ユーザーニーズの捉え方」をご紹介します。

情報伝達の不具合が生じる理由

ミスコミュニケーションが起きる理由は様々ですが、大別すると以下の2つに分類されるように思います。

1.売り手の「伝えたい」が勝るメッセージになっている

2.ページに流入しているユーザーとは異なるユーザーに向けて話している

一つ目の売り手主体のメッセージは、特に商材に思い入れや自信のある企業様で多いケースで、商材に自信がある分、「こだわりを知ってほしい」という思いが全面に出ることで起きる現象です。

もちろん、こだわりや強みを伝えることは悪いことではありません。

しかし、それが「ユーザーが求める情報ではない」場合、それは「押し売り」に早変わりしてしまい、ユーザーの関心も急激に失われてしまいます

図1)ユーザーが気にする情報と伝える情報の不一致

また、二つ目のリーチするターゲットが異なる現象が起こる要因として、実際にページに流入しているユーザー像とは異なる「仮想ユーザー」を想定しているケースです。

商材を開発し立ち上げる段階などでは「こんなユーザーに届けたい」「こんな悩みを解決したい」といった明確なユーザー像があるかと思います。

これは商品開発や事業立ち上げにおいては重要な考えではありますが、この考えに引っ張られすぎた結果、情報伝達の不具合が生じているページを多くお見受けします

成果の出るランディングページ制作においては、「届けたい」ユーザーと実際に「届けられる」ユーザーがイコールではない可能性を念頭に置くことが非常に大切です。

例えば、「シミ改善に強い女性用エイジングケア化粧水」が商材である場合、理想は「シミにお困りで・化粧水の買い替えを検討している・40代〜60代の女性」にアプローチすることだと思います。

しかし、このターゲットユーザーが「シミ改善に強い、女性用エイジングケア化粧水」と検索してくれるかといえば、その可能性は低いです。

おおざっぱな検索をされる方は「シミ改善」「化粧水 エイジングケア」などの検索ワードで検索しますし、厳密な方でも「シミ改善 女性用 エイジングケア」など、多くても3ワード程度での検索となることが多いのが現状です。

そして、これらの検索ワードでランディングページが表示されるように運用をした場合に起こるのが、ターゲットユーザー以外の流入です。

「化粧水 エイジングケア」の場合、

・シミに困っている方
・ほうれい線に困っている方
・しわに困っている方
・漠然と老けて見えることに困っている方
・シミに困っているものの、特に化粧水を買い替えたいとは考えていない方

などなど、多くのニーズを持つ方がページに流入します。

Googleなどの広告運用プラットフォームのターゲティング精度は高まっているものの、「届けたい」ユーザーのみにページを見てもらうことはまだまだ難しいのが現状です。

図2)届けたいユーザーと届けられるユーザーは異なる

実践編:情報伝達の一貫性の作り方

では、この原因に対してどのような対策を取ればよいのか?

ここで重要となるのが「ユーザーニーズを捉えること」です。

まず、先ほどの原因が解消された状態が何かを考えてみましょう。

1.売り手の「伝えたい」が勝るメッセージになっている

→買い手の「知りたい」に終始したメッセージになっている

となり、

2.ページに流入しているユーザーとは異なるユーザーに向けて話している

→ページに流入しているユーザーに向けて話している

となります。

この2つが同時に達成した状態を実現することこそが、成果の出るランディグページの実現とイコールなのです。

図3)ユーザーニーズを捉えた情報伝達

では、この状態を実現するためにはどうすればよいのか、順を追ってご説明していきます。

第一に定めないといけないのが、「買い手=ユーザー像」です。

いわゆる「ペルソナ設定」とも言われる手順で、「ページの流入段階で」具体的に何に困っているのか、どんな悩みを解消しようとしているのか、を明確にします。

ここで気をつけないといけないのが、先述した「届けたいユーザーと届けられるユーザーは異なる」という点です。

WEB広告という手法で勝負する以上、「届けたいユーザー」ではなく、実際にページに流入してくれる、「届けられるユーザー」をいかにモチベートして、「コンバージョンするユーザー」に昇華できるかが鍵となります。

そのために、まずは「どんなユーザーがページに流入してくれるのか?」を紐解いていく必要があります。

今回は実践編としてイメージがわかりやすいように、

弊社の「ランディングページの改善サービス」を例としてご紹介します。

・ステップ1:ニーズを知る

一般的には、ランディングページの改善をしたい方=WEB広告の成果を改善したい方をターゲットとして考えられることが多いかと思います。

しかし、ここで重要なのは、「ランディングページを改善したい」と「WEB広告の成果を改善したい」はニアリーイコールではあるが、イコールではないということです。

一見同じように見えるこの違いは「ニーズの顕在度」にあります。

まず、「WEB広告の成果を改善したい」ユーザーが何を考えているかを整理してみます。

「WEB広告の成果」をざっと分解すると、
・広告の効果
・ランディングページの効果
・フォームの効果
などの要素に分けることができます。

つまり、「WEB広告の成果を改善する方法」は「ランディングページの改善」以外にも選択肢が存在するということになります。

これで、「WEB広告の成果改善ニーズ」と「ランディングページの改善ニーズ」が完全にイコールではないことがおわかりいただけるかと思います。

図4)ニーズの顕在度の違い

このように、対象となる商材と関連するニーズは必ずしも1つであるとは限りません

では、この2つのニーズのどちらをターゲットとすべきかを考えてみます。

・ステップ2:ニーズのボリュームを特定する

また一般論ですが、ニーズが顕在化している方が数が少なく、潜在化している方が数が多いというのが一般的な考え方となります。

では、今回のニーズの母数はどのような形になっているでしょうか?

ここでは、その「検索されている数」を1つの指標として考えてみようと思います。

当然ながら、ランディングページはWEB上のマーケティングで使用されるツールであるため、どんなに頑張ってもWEB以外で情報収集される方には届かせることができません。

そのため、WEB上のニーズに絞って考える必要があり、そのわかりやすい指標の1つが「検索数」です。

検索はWEBユーザーの「知りたい」の表れですので、検索数が多い=情報として需要が高い。と定義することができます。

今回はGoogleが無料で提供している「Googleトレンド」を用いて検索ボリュームを見てみましょう。

図5)Googleトレンドよる検索ボリュームの傾向比較

日本の直近5年間の検索ボリュームを比較すると、4年前まではWEB広告の改善ニーズが圧倒的に大きかったものの、徐々にランディングページ(特にLPでの検索)の改善ニーズと同程度の検索数になっていることがわかります。

なお、注意点として、Googleトレンドはあくまでも絶対数ではなく、相対的な数値としてグラフ化しているので、WEB広告の改善ニーズが減少したのではなく、ランディングページの改善ニーズが上昇した、という理解が正しいかと思います。

では、この結果を踏まえて、どちらのニーズを狙っていくべきかを考えてみましょう。

・ステップ3:商材を知る

ようやく最後のステップです。

ここまでの整理によって、2つのニーズが存在することがわかりました。

・WEB広告の改善ニーズ

・ランディングページの改善ニーズ

ではあらためて、これらのニーズを分解してみましょう。

図6)ニーズの分解

このように、ピンポイントな情報を求めているのか、複数の情報を求めているのかに分類されます。

そのため、ランディングページの構成も、ピンポイントの訴求を行うのか、複数の訴求を行うのかに分かれ、ランディングページの制作段階では、この顕在化した「ランディングページの改善ニーズ」を狙っていくのか、もしくは潜在化した「WEB広告の改善ニーズ」を狙っていくのかをまず決める必要があります。

そして、どちらの構成とすべきかを決定する方法はいくつかありますが、ここでは「商材の訴求できる範囲」をご紹介します。

例えば、弊社のランディングページ改善サービスでは、グループ会社であるコンバージョンアド社による広告改善のノウハウと累計500案件を超える成果改善実績から得られるランディングページ改善のノウハウを組み合わせることで、WEB広告」と「ランディングページ」の2つの改善支援を得意としています。

そのため、先ほどのニーズのうち、2つのニーズに対して訴求を行うことができることがわかります。

ピンポイントの訴求よりも多くの訴求ができることで、「ランディングページ/LP改善」と「WEB広告 改善」の両方の検索ワードが網羅でき、より多くのユーザーの獲得チャンスがあります

また、単一の訴求しかできない競合商材の差別化にもなることから、今回はこの2つの訴求を行うことが、ユーザーが求めていて、かつ、本商材の強みが伝わる情報伝達になる。という結論になります。

なお、実際の制作においては、ここからその方法をどのように伝えるのか?という「HOW」を考えるフェーズになるのですが、それはまた別の記事でご紹介できればと思います。

なお、過去の記事に構成設計の考え方を紹介しているものがいくつかございますので、そちらもあわせてご参考になれば幸いです。

また、今回は複数のニーズに応えられる商材を例にご紹介させていただきましたが、商材によっては単一のニーズにしか応えられない場合もあるかと思います。

そのような商材では成果改善が期待できないのか?と言われれば、決してそのようなことはありません。

そのような場合は、そのピンポイントなニーズを正確に把握し、かつ、そのニーズを解決するソリューションとして最適なものであることを伝えることで、情報伝達の不一致は解消することができます

なお、情報伝達の不一致が解消されているのに成果が改善されない、という場合は、伝え方の「HOW」の部分で魅力的な情報伝達が出来ていない可能性が高いので、成果にお困りの方はまず現状の課題がどこにあるのかを調査してみることを強くおすすめします

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回はランディングページの成果改善にお困りの方に向けて、改善のヒントとなる考え方の1つとして「ユーザーニーズの捉え方」をご紹介させていただきました。

この記事が成果改善に向き合うすべてのWEBマーケターの方の役に立てたら幸いです。

また、弊社ポストスケイプでは、WEB広告の成果獲得にお困りの企業様のランディングページの分析・改善のご提案を行なっています。

・ユーザーの求める情報設計になっているのか?
・情報伝達の不一致が起きていないか?
・今のページの問題点がどこにあるのか?
・どうテコ入れすれば成果改善が期待できるのか?

などなど、皆様のお悩みを解消する提案を行っておりますので、興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度お問い合わせください。