KAIZEN REPORTブログ
2022.4.28 | LPデザイン制作の改善
【現役WEBディレクターが教える】失敗しないランディングページ制作のススメ
ランディングページの制作を制作会社に外注する場合、ランディングページの良し悪しを決めるのは制作会社の腕によるところが大きいと言われています。
実際に、ランディングページのコンセプト・構成・デザインなど、「どのようなページとすべきか?」を主体的に決定するのは制作会社の役割であるため、制作したランディングページの成果に直結する部分を担っているという点で、その認識は間違いでないと言えるでしょう。
ランディングページの成果の8割は制作会社が担うと言っても過言ではありません。
そのため、失敗しないランディングページ制作のためには、しっかりと「成果の出るランディングページ」を実現するためのノウハウがあるかどうか、が非常に重要となります。
しかし、実際にランディングページの制作を依頼したものの、思うような成果が得られなかったり、制作自体が思うように進まず、納期が遅れてしまうケースも珍しくはないと思います。
その原因は、上記の8割に起因しない場合、「残りの2割」にあるかもしれません。
では、残りの2割は誰が担うのかといえば、発注元=クライアントが担うと弊社は考えます。
つまり、どんなに制作会社の腕が良かったとしても、クライアント側がきちんと協力ができなければ、20%の確率で、そのランディングページ制作は失敗に終わる可能性があるということになります。
何度もランディングページの制作をしているものの、なかなか成果に繋がらないという方は、「制作会社の選び方」だけでなく、ご自身の「制作の進め方」にもしかすると原因があったのかもしれません。
そのため、今回の記事では、“失敗しないランディングページ制作”のために、進行過程で「制作会社」と「クライアント」の双方が把握・気をつけるべきポイントをお伝えします。
なお、今回の記事はクライアント企業のWEB担当者と、制作会社の中でもディレクションを担う「ディレクター」や「プランナー」の方を想定した内容となります。
目次
発注〜構成設計
ランディングページ制作と一口に言っても、制作会社によってその制作手法は様々です。
クライアントから必要な情報をすべて支給してもらい、クライアントが描いた設計図通りにランディングページを制作するスタイルもあれば、企画段階から、すべてをオーダーメイドで制作するスタイルもあります。
前者の場合、支給される情報ありきで内容が決定するため、成果が出るか出ないかはクライアント次第、となります。
後者の場合、LPに掲載する情報のすべてを制作会社サイドから提案することになるため、成果の是非も100%制作会社次第のように見えるかもしれませんが、実際には先述の通り、ここでも「8:2」の法則が当てはまります。
当たり前の話ですが、ランディングページの構成案の作成において、「商品理解」は非常に重要な作業です。
ランディングページは「WEB上の営業マン」とも称されます。
「売れる営業マン」は必ずと言っていいほど、この商品が「どんな商品」で、「あなたにとってどんなメリットがあるか」を的確に伝えています。
だからこそ、相手が納得し、「今、自分に必要な商品なのだ」と購入に至っているのです。
ランディングページ制作に置き換えると、その「営業トーク」にあたるのが「構成案」です。
そのため、その「営業トーク」を組み立てる制作会社が、対象商品が「どんな商品」で、「ユーザーにとってどんなメリットがあるか」を理解していなければ、成果の出るランディングページに仕上がることはあり得ないと言えるでしょう。
では、気を付けるべきポイントはどこにあるのか?
制作会社とクライアントの双方の視点で見てみましょう。
制作会社視点
そもそもその商品が誰のどのようなニーズを叶えるための商品であるのか?を理解する工程が不可欠です。
ここでの理解を間違ってしまうと、欲しくもない情報を延々と聞かされることになり、ページから離脱されてしまうでしょう。
ユーザー理解のポイントとして、「どのような悩みを持っているか」はもちろんですが、その抽象度をいかに下げられるか?が重要になります。
たとえば、同じ「化粧水が欲しい」と考えているAさんとBさんがいたとしても、「どのような化粧水が欲しいか」は両者間で差があります。
LPの構成案を設計する際には、その商品がAさんに適したものか、Bさんに適したものか、はたまた全く別のCさんに適しているのかを具体的に理解する必要があります。
ここで重要なのは、「クライアントからの情報をそのまま鵜呑みにしないこと」です。
これまでの話と矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、ここでお伝えしたいのは、「クライアントがAさん向けと言っているのであればそうなのだろう」という、思考停止に陥らないことの重要性です。
もちろん、クライアントは特定のユーザー像/ニーズに応える商品を開発しているため、狙っているユーザー像はあるのですが、「WEB上で」その特定のユーザーにリーチできるのか?は別の問題として浮上します。
たとえば、先にあげた化粧品の場合、クライアントが「保湿力が高い商品だから保湿力の高い商品を探しているAさん」がターゲットであると定義されているとします。
一方で、「肌の乾燥に悩むBさん」や、「肌が乾燥しているという自覚はないものの、乾燥によってかゆみの症状が出ているCさん」もこの「高い保湿力」の恩恵を受けることができ、対象ユーザーであると定義することもできます。
そのような状況下において、Aさんのみをターゲットとすべきか?Cさんまでをターゲットとすべきか?を検討/提案することが制作会社の役割であり、最終的にページ上で訴求すべき情報も決まってきます。
そのため、制作会社はクライアントから支給される情報をそのまま鵜呑みとするのではなく、その商品をWEB上で販売するためのマーケッターの1人として、リーチすべきターゲットユーザー像を自ら考え、提案することが求められます。
そのための情報を得るためのキックオフMTGやヒアリング、マーケット調査・競合LPの調査等をしっかりと行いながら、クライアントから提供される情報以上の情報設計を構築できるような工程を進めていきましょう。
クライアント視点
では、クライアントからいただける情報は効果的なものがないのかと聞かれれば、もちろんそんなことはありません。
先述の通り、どのような商品特徴があるのか、どういった悩みを解決できるのか、といった最低限の情報は必ず伝える必要がありますが、成果を出すという点で大事になってくるのは、与える情報の「深さや温度感」です。
制作会社がリーチできる情報はあくまでもWEB上で公開されているような表面的な情報であり、そこからニーズを推察することしかできません。
一方、クライアントはこれまでの実績やその業界のスペシャリストとしての経験など、リアルな情報を保有しています。
実際に商品を使用されているユーザー属性やベンチマークすべき競合など、実際にその業界に身を置かないとわからないような情報を伝えることが求められます。
先述の通り、ランディングページの構成は「営業トーク」となるので、それを組み立てるための情報の「受け手=制作会社」と「出し手=クライアント」が同じ目線に立っている必要があります。
そのため、どちらの立場においても、受け身の姿勢ではなく、能動的な姿勢で情報を発信・引き出し合うことが成果の出るランディングページ制作の鍵となります。
ランディングページの構成の作り方に詳しく言及した記事は過去にも投稿しておりますので、そちらも参考にしていただくと、より進行のイメージがつきやすいかもしれません。
<良いランディングページの成否を決める、ワイヤーフレーム設計その2>
https://conversion-labo.jp/report/lp_design/6114/
<ランディングページ(LP)の作り方の基礎―構成・ワイヤーフレーム設計の手順を解説―>
https://conversion-labo.jp/report/lp_design/10139/
https://conversion-labo.jp/report/lp_design/7790/
デザイン制作
ランディングページ制作において最も重要視される工程でありながら、最も「制作会社任せ」になっているのがこのデザイン作成の工程であると筆者は考えています。
より正確には、「デザイナー任せ」と言い換えることができるかもしれません。
どの会社さんも、「良いランディングページ」を思い浮かべる際に、トレンド感のあるデザイン、アニメーションを用いた動きのあるデザイン、情報を絞ったメリハリのあるデザインなど、何らかイメージされるデザインがあると思います。
しかし、いざ依頼して出てきたデザインを見ると「全然違うものが出てきた…」という話も良く聞きます。
このようなトラブルも、先述の「認識合わせ」によって、ある程度避けることができます。
「デザイン」と聞くと、特別な才能を持った、選ばれた人間にしか良し悪しが判断できず、ディレクションや指示もできないと思われがちです。
(実際に著者も入社当初はそう感じていました。)
そのため、「なんとなくのイメージはあるけど、言語化できないからとりあえずお任せしよう」と考えてしまったり、「出てきたものが悪かったらまた指示しよう」と考えて進めてしまった結果、「なぜかはわからないけど良いと感じないデザイン」が出来上がってしまい、言語化もできないため、修正に大きく時間がかかってしまう可能性も高くなります。
しかし、よく考えてみれば、最終的にページデザインの良し悪しを判断するのは「デザインの専門知識のないユーザー」です。
そのため、専門知識のない制作会社のディレクターやクライアントの担当者が感じる「違和感」をいかに無くせるかどうかによって、ユーザーがページを見る際の違和感をなくし、伝えたい情報をしっかり伝わるようにできるかが成果獲得の必須事項となります。
デザインディレクションに関しては以下の記事でも紹介しておりますので、よろしければご参照ください。
<押さえておきたい「ランディングページのデザインディレクションのポイント」>
https://conversion-labo.jp/report/lp_design/5076/
<イメージ通りのデザインを実現するために必要なランディングページのデザインディレクションの5つのポイント>
https://conversion-labo.jp/report/lp_design/5663/
制作会社視点
構成案と同様に、どのようなデザインとすべきか?の判断も基本的には制作会社が提案すべきであるため、ここでも「8:2」の法則が当てはまります。
通常、LPのデザインをデザイナーに依頼する場合、ターゲットユーザーと商材特徴などの情報を伝えて、デザインの出来上がりを待つことが多いと思いますが、それだけでは成果の出るLPデザインを叶えることはできません。
もちろん、運が良ければ叶うかもしれませんが、それはデザイナー側が成果の出るLPデザインを実現するための工数を勝手に実施してくれた、という理由があるからに他なりません。
つまり、本来ディレクターがすべき業務をデザイナーが行なってくれた、という「運が良かった」結果に他ならないと考えています。
ここで定義する、本来ディレクターが行うべき業務とは、デザイナーとの「認識合わせ」です。
先の構成案の作成では、クライアントと「商品特徴」「マーケット状況」「ユーザー像」の認識合わせを行いましたが、同様のすり合わせをデザイナーとも行う必要があります。
ここで注意すべきポイントとしては、いかに踏み込んだ情報共有ができるか、という点にあります。
例えば、「20代向けの乾燥肌用化粧品」として伝わるのか、「20代女性でアトピー性皮膚炎に悩み、医師の診断を受けている方が症状の軽減のために探している化粧品」として伝わるかによって、出てくるアウトプットが変わることがわかるかと思います。
上記のようなユーザー像に加えて、他社商品と何が異なるのか?特に成分として何を打ち出すべきか?など、ディレクター・クライアントが持っている情報をすべて共有し、同じ目線に立つことで、最適なデザインが出てくる可能性が高くなります。
クライアント視点
構成案の作成時に定義した情報の伝達は制作会社が行うとしても、クライアントから情報提供が必要ないということではありません。
デザイン段階で主にクライアント側で求められる動きは以下の2点です。
1.デザインルールの伝達
2.素材の用意
1.デザインルールの伝達
1のデザインルールについては、「デザインの方向性を決める」ということではなく、「NGルールがあれば伝える」ということです。
たとえば、企業によっては明確なデザインルールやブランドルールがあるため、それをしっかりとデザイン着手前に伝える必要があります。
また、明確なルールがない場合でも、肌感として「このようなデザインは避けたい」というイメージがあると思います。
もちろん、どのようなデザインが良いか?は制作会社が提案を行う領域ですが、キーワードベースでも、NGな方向性があれば明確に伝えられると認識を近づけることができます。
たとえば、「ブランドイメージから離れない方がよい」「あまりポップなテイストは好まない」など、ざっくりとしたイメージを伝えるだけでも、優秀なデザイナーであれば、そこから選択肢を絞り、最適なデザインイメージの選択に近づくことができます。
これは会社として握れていることが理想ではありますが、担当者ベースでの肌感でも問題ありません。
こういった細かなすり合わせを重ねることが、失敗しないLPのデザイン作りにつながります。
2.素材の用意
2の素材の用意については、すべての写真をクライアントが用意をするということではなく、「クライアントしか用意できない素材」を指します。
たとえば、商品写真・スタッフ紹介・お客さまの声など、クライアントしか用意できない素材を指します。
これをなるべく早く用意することも、実はデザインの完成度を高めることにつながることはあまり認識されていないように思います。
なぜ素材の早めの用意がデザインの完成度につながるかというと、素材の内容に応じて、デザインの見せ方が変わるからです。
たとえば、人物写真1つとっても、右を向いているのか/左を向いているのか、
全身写真なのか/バストアップなのか、明るい表情か/真面目な表情か、によって、素材の配置方法やその装飾の仕方が変わってきます。
この入れ込みと調整を行う作業の時間が長ければ長いほど、デザインの完成度を高めることに時間を費やすことができるため、その重要度がイメージいただけるかと思います。
素材の用意がギリギリになってしまうのであれば、デザインの完成度を優先して、その分の作業時間を確保したスケジュールを組み直すなども、失敗しないLP作りとしては有効な手段となります。
コーディング
コーディングはデザインよりも苦手意識がある方が多く、かつ、どのようにディレクションを行った方がいいのか、明確にイメージできていない方も多いのではないかと思います。
専門知識のない方がコードを見ても、その意味するところがわからず、また、デザインが完成しているため、表示が崩れているか否か、くらいしか判断材料がないかもしれません。
しかし、コーディング段階においても、より円滑な進行のための役割はディレクター・クライアントともに持っています。
なお、コーディング段階ではこれまでのフローと異なり、制作会社とクライアントが別々で動くというよりも、コーディング作業を円滑にするための情報を準備することが求められます。
そのため、今回はコーディング作業開始前に揃えておくべき情報をお伝えします。
必要情報
1.コーディングルール
2.設置が必要なタグ(解析タグなど)
3.公開URL
4.遷移先のURL
1のコーディングルールはデザイン段階でのデザインルール/ブランドルールと同じで、会社として明確なルールがある企業さんはなるべく早いタイミングで共有しておくことで、実際の作業前に懸念点があれば潰すことができ、「想定以上に作業時間がかかってしまった」という不測の事態を避けることができます。
なお、可能であれば、これはデザイン開始段階などのタイミングで共有できると、準備時間をしっかりと確保でき、かつ、コーディングルールによっては再現できないデザイン表現もあるため、そういった出戻りを防ぐためにも、なるべく早いタイミングがベターです。
また、2〜4の情報はコーディング開始タイミングでも問題ありませんが、これも早ければ早いほど良いため、制作初期からこういった情報が必要になることを踏まえ、準備を進めていきましょう。
その他に、欠かせない作業として「ブラウザチェック」が挙げられます。
これは最終的な表示確認を意味する作業で、実際にユーザーの目に触れるページがきちんと動作するのか、意図しない表示がされていないか、運用におけるすべての準備が整っているのかを確認する、非常に重要な作業となります。
このブラウザチェックはLPのWEBページとしての品質を決定づける作業であるため、非常に重要視されており、弊社もかなり力を入れている工程となります。
以下の記事でその詳細について紹介していますので、WEB業界に身を置く方は読んでいただいて損はないと思います。
<ランディングページの最終的な品質を決めるブラウザ&デバイスチェック>
https://conversion-labo.jp/report/lp_design/4831/
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は失敗しないランディングページ制作の進め方についてご紹介させていただきましたが、想像以上に、クライアント側にも求められる動きが多いことがお分かりいただけたかと思います。
一般的に、発注したらあとは制作会社に丸投げしてしまう企業さんも多いと思いますが、「良いランディングページ」を作ろうとするのであれば、二人三脚での取り組みが必要不可欠となります。
とはいえ、LPの制作経験があまりなければ、こういったルールや進め方をご存知の方は少ないかと思います。
そのため、こういった進め方が良い、という提示を行い、進行を引っ張っていくことも制作会社の重要な役目の1つです。
常に先を読んだ行動をとることが、円滑な制作だけでなく、その先にある成果の出るLPにつながるため、この記事が少しでもそのお役に立てれば幸いです。
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