KAIZEN REPORTブログ

2018.10.26 | LPデザイン制作の改善

Webマーケティングで注目が高まる「LPO」とは?

LPOとは

 

昨今のWEB広告のマーケット拡大に伴い、あらゆる業界でランディングページの需要も高まっています。

競争が日を追うごとに激化している中で、「とりあえずランディングページを用意すれば良い」という従来の考え方では、競合との差別化を図れず、埋もれてしまう可能性が高くなっています。

 

そこで注目されているのが、リリースしたランディングページをそのときの状況にあわせてブラッシュアップを行う「LPO」という考え方です。

 

そもそもLPOとは?LPOの必要性と重要性

 

LPOとは、Landing Page Optimization の略で、定期的にランディングページの状況分析・改善を行うことで、獲得効率の向上を目指すことを指します。

 

ランディングページは広告運用を前提として制作・運用されることが多く、広告費との費用対効果が重要となります。そのため、どの企業も成果の期待できる、質の高いランディングページを制作することを非常に重要視しています。

 

しかし、手間暇かけて制作したランディングページも、実際に運用してみると、費用対効果が合わないことは平等に起こりえます。

成果の出るランディングページに巡り合うまで何回もリニューアルするという手もありますが、工数や費用を考えると、あまり現実的な考え方であるとは言えません。

 

だからこそ、実際の成果をしっかりと受け止めた上で、成果を向上させるために、リリース後もしっかりとランディングページを育てていくことが重要です。

 

 

運用で失敗しないためにランディングページの目標を決める

 

ランディングページを制作し運用を行なっていく際に、目標値があると現実の数字との差異を解消するための改善作業が進めやすくなります。

 

目標を決めずに、「とりあえず制作しよう」という考えで制作した場合、運用後に成功なのか失敗なのかの判断もしづらく、何を分析するのかも曖昧になりがちです。そのため、運用開始数ヶ月の目標数値を定めることが重要です。

 

 

ランディングページは放っておくとパフォーマンスが落ちる

 

最初から成果の出るランディングページはLPOを行う必要がないのかというと、そうではありません。最初は成果が出ていたランディングページも時間が経過するとともに、徐々に成果は右肩下がりになっていきます

 

効果が減少する原因は様々ありますが、主な要因を挙げると、

 

例:競合企業の新規参入による競争の激化

例:長く使い続けることによるユーザーの慣れ

例:経年によるデザイントレンドの変化

 

などが挙げられます。

 

また、もちろん競合企業も常にマーケットのシェア率向上を狙っているので、いつまでも同じランディングページを使い続けるとは限りません。競合企業がLPOで成果を上げていけば、その影響で自社のランディングページの成果が下がることは必然です。

 

マーケットシェアの変化

<マーケットシェア率の変化(ビフォーアフター)のグラフ>

 

このような業界の流れの中で、多くの企業がランディンページの制作だけでなく、LPOにも注力しています。中には年間のプロジェクトとして、LPOに取り組む企業も出てきています。それだけLPOはWEBマーケティングの中でも重要な位置付けになっています。

 

 

LPOの3分類、LPOに必要な考え方

 

LPOが重要なのはわかったけど、具体的にどのように進めればいいのか?

具体的なイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。

 

また、一般的なLPOのイメージでは、ランディングページのコンテンツを変えたり、新しいデザインを試したりなど、「ランディングページのデザインを変える」ことにフォーカスされることが多いですが、実際にはそれだけではありません

 

ここではLPOの基本的な考え方について、お伝えします。

 

LPOの3分類

 

お伝えしている通り、LPOという名前から、「ランディングページをどう変えるか」に限定されがちですが、ランディングページに変更を加えないと成果が出せないのかと言われれば、必ずしもその限りではありません

ランディングページだけでなく、その前後の導線についても、視野に入れる必要があります

 

弊社でLPOを行う際には、常に以下の3つの視点から、最適化を行うようにしています。

 

・入り口の設計

・出口の設計

・ランディングページの設計

 

入り口の設計

 

主にユーザーをランディングページに誘導する広告施策を指します。

制作段階では、「どのようなターゲットユーザー」を「どのような広告手法で集めるのか」を決定し、実際のコンテンツ制作に入っていきます。

 

LPOの場合では、すでに「どのようなユーザー」が「どのような広告手法で集まっているのか」が決まっています。この入り口設計が制作段階で想定していた結果通りになっているのかも、1つの重要な指標となります。

 

制作段階で想定していたユーザーと異なるユーザーを連れてきてしまっている場合、そもそもの前提条件が異なってしまうため、ランディングページ上の訴求点とユーザーニーズにズレが生じ、コンバージョンに至る確率がかなり低くなってしまいます。

 

異なるニーズを持つユーザーがLPに流入してしまっているイメージ

<異なるニーズを持つユーザーがLPに流入してしまっているイメージ>

 

そのため、ターゲットとなるユーザーをしっかり集めるように広告施策を最適化することで、ランディングページを変更することなく、成果を改善することも可能です。

また、ユーザーの獲得効率の高いキーワードをランディングページ上に追加するなど、広告側の傾向から、ランディングページ自体をブラッシュアップすることもできます。

 

 

出口の設計

 

流入したユーザーに「何をしてほしいか?」の目標設定になります。

具体的には「資料請求」や「お試し購入」など、いわゆる「コンバージョンポイント」と呼ばれる、ランディングページのゴールのことを指します。

 

コンバージョンに至るまでのユーザーの心理的なハードルは、コンバージョンポイントによって異なります

たとえば、名前やメールアドレスなどの最低限の情報のみを入力すればいい「資料請求」と、情報の入力に加え、時間の調整や移動が必要な「来店予約」では、圧倒的に資料請求の方が、コンバージョンに至る確率は高くなります。

 

コンバージョンポイントの心理的ハードルの差

 <コンバージョンポイントの心理的ハードルの差>

 

心理的なハードルの高いコンバージョンポイントでコンバージョンの獲得が難しい場合は、比較的心理的なハードルの低いコンバージョンポイントを追加で設置し、まずはユーザーとの接点を持てるように出口を追加することも方法の1つです。

 

また、入力フォームの改善もコンバージョン獲得の1つの要因となります。

運用側からすると、なるべく多くの情報を集めたいのが心理だと思いますが、入力するユーザーからすると、必要最低限の情報以外は出したくないのが本音です。

 

入力を行う作業自体にも時間がかかるため、入力項目が多すぎると、ユーザーのストレスにつながり、せっかくランディングページ上の情報に納得してくれたユーザーも離脱してしまう可能性が高くなります。

 

そのため、フォームの入力項目はコンバージョンの目的に即した、必要最小限のものに絞り込んでいく必要があります

 

 

ランディングページの設計

 

「どのようなユーザー」に対して「どのような行動を起こしてほしいのか」という入り口・出口の設計が定まったうえで、「どのような変更を行うのか」を決定します。

 

ひとくちに「ページを変更/改善する」といっても、様々な準備が必要で、かつ、最適な進め方があります。

ここからは、ランディングページの改善(LPO)をどのように行えばいいのか、基本的な進め方や考え方をご紹介します。

 

 

LPOに必要な準備

 

いざランディングページの改修に着手しようと思っても、ページの何をどのように変えればいいのか?1歩目が踏み出せない方も多いのではないかと思います。

 

成果が出ないランディングページも、制作段階では知恵を出し合いながら、納得がいくものをリリースしているため、いざ改善をしようと思っても、どう改善したらいいのか?わからないことが多いです。

 

特に、ランディングページは縦に長くスクロールするタイプのページが多くなっているため、どのコンテンツに手を入れればいいのか?通常のサイト改善よりも難易度が高い傾向にあります。

 

そこで重要なのが、「客観的なデータを用意する」ことです。主観的な思いつきで改善を行うよりも、客観的なデータに基づき、どのようなユーザーがページに入ってきていて、そのユーザーがページ上でどのような動きをしているのかを明確化し、ロジカルに改善を行うことで、改善の確度は高くなります。

 

LPOで必要なデータと、おすすめのツール

 

1.Googleアナリティクス

 

Googleが提供しているページ解析サービスで、無料であるにもかかわらず、機能が充実しており、使いこなせれば「流入経路による効果の違い」や「ユーザーの性別・年齢などの属性データ」を抽出することができます

 

流入経路やユーザー属性のデータを抽出することで、例えば昼間の流入が多い場合であればその時間帯での広告運用を行なったり、新規流入が既存よりも多い場合は新規獲得のための情報設計にするべきといった具体的なユーザー像を構築することが可能になります。

 

また、少し高度な機能になりますが、ページ内に複数設置しているボタンの内、どのボタンが最もコンバージョンの獲得に貢献しているといった、ボタンごとのクリック・タップ率の傾向も見ることができます。

 

 

2.ヒートマップ分析

 

先述の通り、ランディングページは縦長であることが多いため、どのコンテンツがコンバージョンに貢献できていて、どのコンテンツに課題があるのか、判断することがとても難しくなっています。

 

ヒートマップツールを導入することで、サーモグラフィのようなイメージで、実際にユーザーが「ページのどこを見ているのか?」「どこをクリック・タップしているのか?」「ページのどこまでスクロールしているのか?」が客観的なデータとして表示されます。そのため、具体的にどのような改善施策を行えば良いのかの判断材料として、大いに役立ちます。

 

加えて、Googleアナリティクスと併用することで、ヒートマップでの注目度とコンバージョンまでの到達率や完了率を比較し効率よくボトルネックを割り出すことも可能になります。

 

 

3.広告運用データ

 

意外と盲点となりやすいのが、「広告とLPの相性」です。なかなかLPの効果が上がらないと悩んでいたところ、広告を出稿する媒体や、広告手法を変えたことで、効率が一気に上がるケースも珍しくありません。

 

実際に、ランディングページを制作する際にも、こういった属性のユーザーに刺さるようなページにしよう。こういったキーワードで検索するユーザーに向けたページ設計にしよう。といった前提条件をもとに、制作を行うことが多いため、実際にその前提条件が正しいのか?といった流入状況の整理や、実際に流入しているユーザーにLP上の情報を最適化するにはどうすれば良いのか?といった、LP側の改善施策も見えてくることがあります。

 

 

LPOの進め方

 

LPOのフェーズとしては大きく「分析」「仮説立案」「反映・運用」の3つに分けられます。

 

分析

 

その名の通り、実際の運用データを元に、流入しているユーザーの属性や、現在のページの課題となるボトルネックの抽出を行うフェーズになります。

 

どのようなユーザーが流入していて、そのユーザーがページ上でどの情報に興味を持ち、逆にどの情報を不要と判断しているのか、現状を把握することが重要になります。

 

LPOの方向性を決定するための重要な準備期間となるため、このフェーズでいかに現状を正しく捉えられているかどうかで、LPO全体の質が大きく左右されます

 

 

仮説立案

 

分析フェーズで得られた情報をもとに、具体的な改善施策を考えるフェーズになります。具体的にどのような改善を行うのがベストなのかは状況によって大きく異なりますが、方向性としては大きく2つに分けられるかと思います。

 

1.ポジティブな要因を強調する

2.ネガティブな要因を排除する

 

 

1.ポジティブな要因を強調する

 

注目度が高いコンテンツや、コンバージョンしているユーザーが検索しているキーワードから、ユーザーの興味・関心度の高い要素を、より認識してもらいやすくする改修です。

 

代表的な改善施策では、注目度の高いコンテンツをページの前半に配置する、コンテンツの順序変更や、該当のコンテンツと近しいコンテンツを新たに作成し追加する、コンテンツ追加施策があります。

 

ポジティブな例

<ポジティブな要因を強調する施策例>

 

 

2.ネガティブな要因を排除する

 

先ほどの施策とは反対に、注目度の低いコンテンツや、コンバージョンが獲得できていないキーワードから、ユーザーの興味・関心度の低い要素を、ランディングページ上から排除、または影響度を低くする改修です。

 

代表的な例では、注目度の低いコンテンツの削除やページの後半への順序移動、また、コンテンツのサイズを小さく作り直す方法があります。

 

ネガティブな施策例

<ネガティブな要因を排除する施策例>

 

 

反映・運用

 

改善施策が決定したら、その反映を行いますが、ここで注意したいのは、反映に時間を取られすぎると、十分な検証が行えないということです。

 

多くの場合、毎月1回検証サイクルを回すなど、定期的な改善を行うことが多いですが、反映作業に時間をかけすぎることで、十分な検証数値が蓄積できずに、検証サイクルが崩れてしまったり、根拠のない改善を強いられることになってしまいます

 

そのため、改善施策の決定後は、速やかに反映を行う必要がありますが、改善のボリュームが大きすぎれば、どんなにスピーディーに作業を行ったとしても、改善サイクルからは外れてしまいます。

 

それを避けるために、改善施策はどんなに長くとも1週間以内には完了できるボリュームで収めると、改善サイクルを回しやすくなるでしょう。

 

また、作業を行う側だけでなく、依頼する側にも注意が必要です。

追加追加で改修内容が増えたり、確認に時間をかけてしまうと、その分作業時間が削られ、結果、検証期間の不足につながります。そのため、依頼側も「フィードバックは即日」「改修は1度で伝えきる」という意識が必要不可欠になります。

 

とはいえ、思いもよらない方向から、どうしても追加で対応が必要な事項が出てきてしまう場合もあります。その場合は、優先度をしっかりと見極め、「今すぐに対応しなければならないのか」それとも「進行中の改善施策を反映してから、追って反映する」形でも間に合うかを判断し、段階を踏んで反映を行うようにマネジメントする発想も必要です。

 

また、運用を行うにあたり、ぜひ活用したいのが「A/Bテスト」です。

A/Bテストとは、異なる複数のページを均等に表示させ、一定期間の集計データをもとに、どのパターンが最も効果が高いのかを判定するためのテストになります。

 

先述の改善サイクルでは、すでに運用しているページを「オリジナルページ」、その「オリジナル」に改善施策を反映させたページを「テストぺージ」と呼ぶことが多いです。

 

オリジナルページとテストページを同時に運用し、均等に表示させることで、どちらのページの方が効果が高いのか=改善施策/仮説が正しかったのかを検証できます

 

A/Bテストの例

<A/Bテストの例>

 

なお、ランディングページのA/Bテストは特にヒートマップ分析と相性が良く、たとえ、テスト結果に数値的な有意差が見られなかったとしても、「該当箇所の注目度が上がった」「ページのスクロール率が上がった」など、コンバージョン率以外の指標での判断が可能になり、優劣の判断材料・選択肢を多く持つことができます

 

 

まとめ

 

今回はランディングページ制作後のLPOについて、基本的な考え方をご紹介しました。具体的な改善の方法等については過去記事でもご紹介しておりますので、よろしければ、あわせてご高覧ください。

 

ランディングページ改善運用の基本的な考え方

 

ランディングページ改善運用の4つのポイント

 

ヒートマップツールを用いたランディングページの分析・改善のポイント

 

コンバージョンエリア(CTA)改善のポイント

 

コンバージョンしたキーワードを元にランディングページを改善する

 

また、序章でお伝えさせていただいた通り、ランディングページを取り巻く環境は日々変わっています。たとえ一度軌道に乗ったとしても、マーケットの変化や新たなデザイン表現の登場などによって、いつ成果が落ち込んでしまっても不思議ではありません

 

そのため、常にアンテナを張り巡らせながら、ランディングページの鮮度を高い状態でキープし続けることが成果を最大化させる唯一の方法です。