KAIZEN REPORTブログ
2026.9.2 | LP運用レポート
BtoBマーケは「リード獲得」から「商談前の意思決定支援」へ─AI検索時代のLP・情報設計の役割を考察

目次
はじめに:Forbes JAPANの記事から見る、BtoB購買行動の変化と現場の実感
先日、Forbes JAPANで公開された『B2B企業が「最初の商談」の前にオンラインで顧客を失っている理由』という記事を目にする機会がありました。
B2B企業が「最初の商談」の前にオンラインで顧客を失っている理由
https://forbesjapan.com/articles/detail/103417
記事では、BtoBの買い手は営業担当者と商談を行う時点で、すでに比較・検討を進め、意思決定の大半を終えているという問題提起がなされています。
この変化は、コンバージョンラボがクライアント企業のLPO(ランディングページ最適化)やWeb制作をご支援する現場、そして自社のマーケティング活動を通じても、そう感じる機会が増えています。
近年、生成AIやAI検索を活用したリサーチが急速に浸透したことで、BtoBサービスについて、会社に問い合わせる前に得られる情報量は増え、より効率的に情報を集められるようになりました。
具体的には、サービスの特徴や料金体系、導入実績、具体的な事例、競合との違いなどを自ら調べ、ある程度比較したうえで問い合わせることが、これまで以上に容易になってきています。
実際にお問い合わせをいただく段階でも、すでに複数の候補企業を比較・検討した状態にあると感じるケースは少なくありません。
つまり、企業から見えない「商談前」の段階で比較検討が進み、必要な情報を十分に提供できていない企業は、問い合わせを受ける前に候補から外れてしまう可能性があるということです。
では、この変化をLPOや情報設計の立場から捉えたとき、商品やサービスを提供する企業は何を変えるべきなのでしょうか。
これからは、「広告からユーザーを集め、フォームまで誘導する」というリード獲得だけではなく、問い合わせ前のユーザーが自ら理解・比較・判断できる状態をWeb上につくっておくことが重要になると考えています。
そうなると、LPやWebサイトの役割も、単なる集客・獲得の場にとどまりません。ユーザーの意思決定を支援し、比較候補として選ばれるための「デジタルな営業ツール」として捉え直していく必要があるのではないでしょうか。
本記事では、そのために必要な情報設計の考え方を、コンバージョンラボがLPOの実務で培ってきた知見をもとに、5つの視点から考察していきます。

情報設計の考え方5つの視点
1.【CVの量から「CVの質」へ】LPは獲得から意思決定を支援する営業コンテンツへ
BtoBマーケティングにおけるLPやWebサイトは、これまで「どれだけ多くの問い合わせ(いわゆるコンバージョン)を獲得できたか」という数字で評価されることが多くありました。
もちろん、コンバージョン数を増やすことは今でも重要です。
しかし、冒頭で触れたように、問い合わせ前の段階ですでに比較・選定が進むようになった現在では、単純にCV数だけを増やせばよいとは言えなくなってきています。
そこで、今後さらに重視すべきなのが、「どのような理解や納得を持ったユーザーから問い合わせを獲得できているか」というCVの質です。
理想を言えば、問い合わせ時点ですでにサービスの特徴やメリットを十分に理解してもらえていれば、商談では基本的な説明に多くの時間を使う必要がありません。より具体的な課題や導入条件について話を進めやすくなり、結果として商談の質や成約率にも影響してきます。
では、そのような「理解したうえでの問い合わせ」を増やすために、LPでは何を変える必要があるのでしょうか。まず見直したいのが、ファーストビューをはじめとするメッセージの伝え方です。
売り手都合のメッセージから、ユーザーが判断できる言葉へ翻訳する
「業務を効率化する」「ビジネスを加速させる」「次世代のDXソリューション」といった抽象的な言葉だけでは、複数のサービスを比較しているユーザーにとって十分な判断材料にはなりません。
ファーストビューを目にした短い時間の中で、
・誰に向けたサービスなのか
・どのような課題を解決できるのか
・導入すると何が変わるのか
を、できるだけ具体的に伝える必要があります。
企業が伝えたい「機能」をそのまま並べるのではなく、ユーザーにとってどのような価値になるのかへ翻訳することが重要です。
そして、ファーストビューで興味を持ってもらった後は、その期待をページ全体で裏切らないことも重要です。次に考えるべきなのが、ユーザーが自分自身でサービスを理解し、判断できるストーリーラインをどう設計するかという点です。
LPを「商談前の意思決定を支援する営業コンテンツ」として捉える
LPでは、単に情報を多く掲載すればよいわけではありません。ページを読み進める中で、ユーザーがサービスの特徴、強み、導入メリット、競合との違いを順序立てて理解できるストーリーを設計する必要があります。
営業担当者に接触する前の段階で、、
「自社の課題に合っているのか」
「ほかのサービスと何が違うのか」
「検討候補に残すべきなのか」
をユーザー自身が判断できる状態をつくることを今後は考えて設計していく必要があると思っています。

2.【納得の設計】ユーザーが「選ぶ理由」を自分で組み立てられる判断材料を用意する
サービスの内容を正しく理解してもらったとしても、それだけで問い合わせや商談に進むわけではありません。
次にユーザーが考えるのは、「本当にこのサービスを選んでよいのか」「他社ではなく、ここを選ぶ理由があるのか」ということです。
コンバージョンラボでは、ユーザーが広告やLPに触れてから行動に至るまでの心理変化を、
【認識 ➔ 共感 ➔ 納得 ➔ 行動】
という4つのステップで捉えています。
BtoBにおいて、特に商談前の比較検討を前へ進めるために重要なのが、この「納得」のフェーズだと考えています。
ユーザーは、単に「良さそうなサービスだ」と感じるだけでは問い合わせには進みません。
「なぜこの会社なのか」
「なぜこのサービスを選ぶべきなのか」
「費用に見合った成果が期待できるのか」
といった疑問に、自分なりの答えを持てる状態をつくる必要があります。
では、ユーザーが自分自身で「選ぶ理由」を組み立てるためには、どのような情報が必要なのでしょうか。私たちは、大きく「効果・違い・費用・安心」の4つに整理できるのではないかと考えています。
効果|導入すると何が変わるのか
導入前と導入後のBefore/After、改善率、工数削減、売上・成果の変化など、導入によって得られる効果を具体的に示します。特に、自社と近い業種・企業規模・課題を持つ事例があれば、ユーザーは自社に置き換えて成果をイメージしやすくなります。
違い|なぜ他社ではなく、このサービスなのか
競合と比較された際に、自社がどの領域で優れているのかを分かりやすく整理します。単純な機能数や価格だけではなく、サポート体制、導入スピード、柔軟性、専門性など、ユーザーの意思決定に影響する比較軸を設計することが重要です。
費用|いくらかかり、何が得られるのか
BtoBサービスでは、料金が分からないだけで検討が止まることがあります。すべての料金を公開できない場合でも、概算費用、料金レンジ、初期費用、ランニングコストなど、検討の目安になる情報はできるだけ提示します。
また、単に価格を示すだけではなく、「その費用によって何が改善されるのか」という投資対効果まで伝えられると、判断しやすくなります。
安心|導入しても問題ないと言える根拠
導入体制、サポート範囲、セキュリティ、実績、運営企業の情報など、ユーザーが感じる不安を解消する材料も欠かせません。特にBtoBでは、担当者本人が納得しても、上長や関係部署から、
「本当に導入して大丈夫なのか」
「セキュリティは問題ないか」
「導入後のサポートはあるのか」
といった確認を求められることがあります。
ユーザー自身が納得できる判断材料をWeb上にそろえておくことは、そのまま社内説明や稟議を進めるための材料にもなります。


3.【行動の設計】検討度の異なるユーザーを一つのCVでまとめようとしない
ここまででサービスの内容を理解し、選ぶ理由にも納得できたとしても、ユーザー全員が同じタイミングで問い合わせをしたいわけではありません。情報を集め始めたばかりのユーザーもいれば、料金を確認しているユーザー、社内で具体的に検討しているユーザーもいます。
それぞれ検討段階が異なるにもかかわらず、すべてのユーザーに「お問い合わせ」という一つの行動だけを求めると、まだ準備ができていないユーザーとの接点を失ってしまいます。
そこで次に考えるべきなのが、ユーザーの検討度に合わせて、どのような「次の一歩」を用意するかという行動設計です。
検討フェーズに合わせてCTAを用意する
例えば、次のように検討フェーズごとに次のアクションを変えることが考えられます。
・情報収集フェーズ
サービス概要資料、導入事例集、市場動向レポート
・費用・効果検討フェーズ
料金表、見積もりシミュレーション、費用対効果資料
・社内検討フェーズ
稟議用サマリー、導入ステップ資料、セキュリティ資料
・具体相談フェーズ
無料相談、オンライン商談予約、お問い合わせ
問い合わせだけを唯一のCVと考えるのではなく、検討を一段階前へ進める「マイクロコンバージョン」も含めて導線を設計することが重要です。
判断に必要な情報は、必ずページに掲載する
ユーザーが比較するために必要な情報まで資料請求フォームの奥に隠してしまうと、セルフリサーチを進めたいユーザーにとって大きな負担です。
もちろん、すべての情報を公開する必要はありません。しかし、サービスの概要、強み、代表的な事例、料金の目安など、比較・判断に必要な基本情報にはWeb上からアクセスできる状態をつくっておくことが重要です。
そのうえで、より詳しい情報を知りたいユーザーに資料請求や相談という次のアクションを提示する方が、自然な導線になります。
さらに、ユーザーが「問い合わせてみよう」と意思決定した後にも、もう一つ離脱ポイントがあります。それが入力フォームです。
EFOで「行動したいのにできない」を防ぐ
ユーザーが「問い合わせてみよう」と思ったにもかかわらず、入力項目が多すぎる、選択肢が多すぎる、ステップが多すぎる、フォームがスマートフォンで操作しづらいといった理由で離脱してしまっては意味がありません。
不要な入力項目を減らす、入力例を示す、エラーを分かりやすく表示するなど、EFO(入力フォーム最適化)によって行動時の心理的・操作的な負担をできる限り減らしましょう。

4.【情報デザインの4アプローチ】「移動・削除・変更・追加」で迷いを減らす
ここまで説明してきた情報設計やCTAを整えても、それでLPが完成するわけではありません。
実際に公開してユーザーに閲覧してもらうことで、初めて、
「この情報はもっと早く見せた方がよかった」
「ここはほとんど読まれていない」
「この説明だけでは不安が解消できていない」
といった課題が見えてきます。
つまり、重要なのは最初から完璧なLPやサイトをつくることではなく、公開後のユーザー行動を見ながら、情報の順番や内容を継続的に調整していくことです。
では、実際に改善案を考えるとき、どのような視点からページを見直せばよいのでしょうか。
コンバージョンラボでは、データから改善仮説を考える際の基本的な発想として、
「移動・削除・変更・追加」
という4つのアプローチを活用しています。
LPOにおける改善案発想の4アプローチ
移動
ヒートマップで熟読されている事例や比較表などの重要コンテンツを、より早い段階で閲覧される位置へ移動します。
削除
読み飛ばされている長文や、意思決定に不要な情報・装飾を削り、情報量と視覚的なノイズを減らします。
変更
流入キーワードやターゲットの関心に合わせて、ファーストビューの訴求、コピー、ビジュアル、見せ方などを変更します。
追加
離脱が起きている箇所やユーザーが迷っている場所に、FAQ、比較情報、事例、料金など不足している判断材料を追加します。
ただし、この4つのアプローチも、担当者の感覚だけで選択するのでは意味がありません。
重要なのは、「なぜ移動するのか」「なぜ削除するのか」「なぜ追加するのか」までデータから説明できる状態をつくることです。
GA4によるページ遷移やCVデータと、ヒートマップによる熟読・スクロール・離脱傾向を組み合わせ、
「ユーザーはどこで迷っているのか」
「何が足りないから次へ進めないのか」
を仮説として整理します。
その仮説をA/Bテストで検証し、結果を次の改善へ反映する。
このサイクルを繰り返すことで、ページ全体を継続的に「選ばれる情報設計」へ近づけていきます。


5.LPOを続けることが、AI検索にも伝わりやすい情報基盤をつくる
ここまで紹介してきた考え方は、すべて「ユーザーが商品・サービスを理解し、納得して意思決定できる状態をつくる」ことを目的としています。
そして、このユーザー目線での情報設計を継続していくことは、近年注目されているAI検索への対応とも無関係ではありません。
近年、LLMO(大規模言語モデル最適化)やGEO(生成エンジン最適化)といったAI検索への対応にも注目が集まっていますが、ここで順序を取り違えないことが重要だとコンバージョンラボは考えています。
「AIに選ばれるために情報を作る」のではなく、まず「ユーザーに選ばれるための情報を作る」。
具体的には、次のような流れで整理しています。
ユーザーが比較・検討するために必要な情報を充実させる。
↓
アクセス解析やヒートマップを通じて、不足している情報や分かりにくい箇所を発見する。
↓
LPOによって、料金、機能、事例、比較情報、FAQなどを継続的に改善・追加する。
↓
その結果として、Web上に具体的な一次情報が蓄積されていく。
こうした状態は、ユーザーにとって判断しやすいだけでなく、AI検索エンジンにとっても、その企業が「何を提供しているのか」「どのような特徴や実績を持つのか」を理解するための情報基盤になり得ます。
LLMOやGEOのためだけに専用コンテンツを増やすのではなく、ユーザーの意思決定を支援するための情報設計を追求し続ける。その延長線上にAI検索への適応もあるというのが、LPO支援を積み重ねてきたコンバージョンラボの見解です。

おわりに:商談の「質」を高めるWebサイト・LPへ
これからのBtoBマーケティングにおいて、WebサイトやLPは、単に集客して問い合わせ数を増やすためだけの場所ではありません。
問い合わせ前の段階から、
理解する → 比較する → 納得する → 行動する
という意思決定のプロセスをWeb上で支援することが、これまで以上に重要になります。
ユーザーが必要とする情報を先回りして提供し、疑問や不安を解消する。
そして、「この会社なら相談してみたい」「このサービスを候補に残したい」と思える状態をつくる。
その積み重ねによって、WebサイトやLPは「リードを獲得するためのページ」から、数ある候補の中から選ばれ、質の高い商談につなげるためのデジタル営業ツールへと役割を広げていくのではないでしょうか。
自社のWebサイトやLPが、検討中のユーザーに対して「なぜ自社を選ぶべきなのか」を十分に伝えられているか。
一度、問い合わせ件数だけではなく、「商談前の意思決定をどこまで支援できているか」という視点から見直してみることをおすすめします。

BtoBマーケティング・LP改善に関するご相談
コンバージョンラボでは、【認識 → 共感 → 納得 → 行動】というユーザー心理に基づいた情報設計から、ペルソナ・ユーザーシナリオの策定、クリエイティブ制作、そして自社開発ツール「CVX」等を活用したA/Bテスト・LPO運用まで、Webサイト・LPの成果改善を一気通貫でご支援しています。
単に問い合わせ数を増やすだけではなく、
「商談化率や成約率を高めるLPへ見直したい」
「問い合わせ前の比較検討で選ばれる情報設計に変えたい」
「AI検索時代を見据えてWeb上の情報を整理したい」
といった課題をお持ちの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。






