KAIZEN REPORTブログ
2019.9.30 | アクセス解析の改善
ランディングページ解析ツールの特徴と上手な使い分け
WEBマーケティングが盛況である昨今、作成したランディングページの効果を高め、より効率的にコンバージョンを獲得する「LPO(ランディングページ最適化)」という考え方が注目されています。
そのLPO(ランディングページ最適化)に欠かせないのが、解析ツールの存在です。
実際にどのようなユーザーがページに訪れているのか?
コンバージョンしやすいユーザー像は?
ユーザーはページ内のどの情報に関心を示しているのか?
コンバージョン獲得に貢献しているコンテンツは何か?
このようなLPO(ランディングページ最適化)に欠かせない情報は、ただページを眺めているだけでは見えてきません。
そこで活躍するのが、WEBページ解析ツールです。
WEB解析ツールで客観的なデータ抽出をすることで、具体的な「狙うべきユーザー像」や、ページ上でユーザーが実際にどう動いているのかといった情報を可視化することができます。
WEB解析ツールは数多く存在していますが、その共通目的としては、「客観的なデータ抽出を可能にする」ことにあります。
たとえば、年齢、性別、コンバージョンに至るまでの平均セッション回数などといったユーザーの属性情報を知ることで、「狙うべきユーザー像」を把握でき、ランディングページ上でのコミュニケーションや広告配信の最適化を行うことが可能となります。
また、実際にページ上で注目されているコンテンツとそうでないコンテンツといった行動情報を把握することで、具体的な改善施策を見出すことができます。
本記事では、数多く存在するWEB解析ツールの中でも、コンバージョンラボが実際のLPO業務でよく使用する、ランディングページの分析に特に便利なツールの紹介と、LPOの現場目線での活用方法について、ご紹介したいと思います。
<目次>
・ランディングページの分析に必要なデータとは?
・ユーザー属性を広く、深く抽出できる無料ツール「Googleアナリティクス」
・ユーザーの興味関心を可視化するヒートマップツール「Pt-engine」
・LPOの現場での解析ツールの活用例
ランディングページの分析に必要なデータとは?
ランディングページに限らず、WEBページの分析を行う場合には、
「どのようなユーザーがページに入ってきているか?」
「ユーザーがページ上でどのような動きをしているか?」
という情報を正確に把握することが絶対条件となります。
しかし、前述の通り、WEB解析ツールを用いることで様々なデータを取得することができますが、取得できるデータはツールによってそれぞれ異なり、かつ、一部被っている範囲もあるため、どのツールを使えばいいのか?判断が難しいことも多いです。
WEBページは期間限定のキャンペーンページや、半永久的に使われるブランドページなど、それぞれ使用目的が異なり、その用途によって、集客方法も異なります。
そのため、それぞれのページに最適な解析ツールというのは異なりますが、最低限以下の3点がわかるようなツールを選ぶことができれば、質の高いデータ分析が可能になります。
・ユーザーの属性
・ユーザーの流入方法
・ページ上での動き
<図1:3つの必要データ>
また、実際に商品・サービスはターゲットとなるユーザー像=ペルソナが決まっているため、それぞれ独立したデータだけでなく、複数のデータを組み合わせ、より深いデータを抽出できることも必須であるといえます。
たとえば、40歳以上の女性をターゲットとした新商品の発売とあわせて、キャンペーンページをリリースし、その集客をリスティング広告で行うとして、「女性」という1つのカテゴリでしかデータが抽出できない場合、20代や30代の女性のデータも混在してしまい、分析の信憑性が下がり、確度の高い改善をすることができなくなってしまいます。
そのため、「女性」× 「40歳以上」× 「リスティング広告での流入」という複数のカテゴリデータの掛け合わせを行うことで、初めて該当のユーザーの動向を知ることができ、成果改善に向けたPDCAを回すことができるのです。
<図2:同じパイの中でより小さいところにリーチできる>
ユーザー属性を広く、深く抽出できる無料ツール「Googleアナリティクス」
GoogleアナリティクスはGoogleが無料で提供している計測ツールであり、無料で利用できるにもかかわらず、かなり自由度の高いデータ抽出が可能です。
特に以下の2軸での解析に役立ちます。
・ユーザーの属性
・ユーザーの流入方法
特筆すべきは、Googleが保有する豊富なデータベースにより、流入ユーザーの年齢や性別など、1人1人の細かな属性データを抽出することができる点です。他のツールでもそのような属性データは抽出できるかもしれませんが、全世界のユーザーデータを保有するGoogleのデータ量と、そこから導き出されるデータの精度に勝てるツールはそうはないでしょう。
また、そのユーザーがどのような方法でページに流入してきたのかもわかります。検索広告と記事広告など、複数の広告手法を同時に行っている場合でも、それぞれ別の方法での流入であると識別してくれます。
<図3:どのようなユーザーがどのように流入したか>
例)検索広告ユーザーにおける、年代別数値比較
複数のデータセグメントの掛け合わせにも対応しているため、先に述べたような「女性」×「40歳以上」×「リスティング広告での流入」といった、より条件を絞ったユーザーデータの抽出が可能となります。
それにより、「同じ40代の女性でも、検索広告の方が記事広告よりも効率が良い」「この記事広告の内容では50代以上の女性に効果が高い」といった、より深い気づきを得ることができるようになります。
Googleアナリティクスに関する操作方法やランディングページの分析にあたっての活用方法はこちらの記事でも紹介していますので、よろしければ、あわせてご参考ください。
ランディングページ改善(LPO)に不可欠なGoogleアナリティクス分析
https://conversion-labo.jp/report/analyze/7849/
ユーザーの興味関心を可視化するヒートマップツール「Pt-engine」
Googleアナリティクスによって、「どのようなユーザーがページに流入しているか」がわかったため、次は「ユーザーがページ上でどのような動きをしているか」を客観視することが重要となります。
なお、ここで定義する「ユーザーの動き」とは、ユーザーが「どのコンテンツを見ているか」「どのタイミングでコンバージョンしているか」という2つの軸に分けることができます。
<図4:1.注目度=どのコンテンツを見ているか、2.クリック=どのタイミング>
どちらも、ページ内のどの情報に対してユーザーが反応をしているのかといった、興味関心を可視化するための指標となります。
特にランディングページは複数のコンテンツが連なる縦長のページであることが多く、結果、同一ページ内に複数の訴求ポイントが存在することになります。
そのため、どのコンテンツに注目しているか=どの情報に興味があるか。という情報を知ることで、より確度の高い改善施策を考案することができるようになります。
そして、それを可視化するのがヒートマップツールなのです。
ただ、ヒートマップツールも数多く存在しており、どれを選べばいいのか、迷うこともあるかもしれません。
その際の選択軸として、「複数のデータセグメントの掛け合わせができるか」という点に気をつけましょう。
Googleアナリティクスの項でもお伝えしているように、複数のデータセグメントの掛け合わせを行うことで、より精度の高いデータの抽出が可能であり、それはヒートマップであっても変わりません。
「同じ属性でもこの広告手法で流入してきたユーザーは離脱率が高い」
「同じ属性でもこの広告手法で流入したユーザーはカート遷移率が低い」
といった、より細かいデータ抽出が可能となります。
また、弊社でLPOを行う際に必ずといっていいほど導入しているのがPt-mind社の「Pt-engine」というヒートマップ分析ツールです。複数のデータセグメントを掛け合わせたヒートマップデータの抽出ができるため、より高度なLP分析が可能となります。
<図5:40代女性の検索広告流入HM&40代女性の記事広告流入HM>
ヒートマップツールを用いたLPの分析に関する記事もありますので、こちらの記事もご参考ください。
ヒートマップツールを用いたランディングページの分析・改善のポイント
https://conversion-labo.jp/report/lp_design/6508/
LPOの現場での解析ツール活用例
それでは、ここまでご紹介した2つの分析ツールを用いることで、どのようなLPO改善サイクルを実現することができるのか、デザイン例を見ながら、ご説明していきたいと思います。
ケーススタディ1(Googleアナリティクスのみを用いた改善の場合)
→複数のセグメントデータ抽出による、より深度のあるターゲットユーザーへのアプローチ例
40代以上の女性をメインターゲットとした、エイジングケア化粧品の販促用LPを運用されている会社様で、弊社がLPOを担当していたA社様の例となります。
商品ターゲットが40代以上であるため、メインビジュアルのキャッチコピーで「40代からの気になる年齢肌に」という文言を入れていましたが、分析を進めていくにつれ、確かに40代女性のCVR(1流入あたりのコンバージョン率)は高かったものの、年齢に流入方法のセグメントを追加して分析したところ、主たる流入となっていた検索広告の流入では、主に50代以上の流入が多く、この年齢層のCVRに改善の余地があることがわかりました。
そのため、キャッチコピーを「50代からの気になる年齢肌に」の文言に変更し、ボリュームゾーンとなるユーザーに対してより強くアプローチすることで、全体的な獲得効率の改善に成功しました。
<図6:メインキャッチの変更によるビフォーアフターイメージ>
※デザインはあくまでイメージです。
ケーススタディ2(Pt-engineのみを用いた改善の場合)
→コンバージョンユーザーと非コンバージョンユーザーのヒートマップ比較によるコンテンツ順序の最適化
続いては、女性向けの健康食品の販促用LPを運用されているB社様の例となります。
定期的なLPOとデザイン改善を行ってきたB社様のLPですが、LPを長く運用していく中で、徐々にページ全体のスクロール率が減少していく傾向が続いていました。
長期的なヒートマップデータの遷移を見ても、ページ全体の注目後が高く、理想的とも言える状態が続いていたにもかかわらず、減少傾向が続いていたため、原因が見えづらい状況でした。
そこで、セグメントに「非コンバージョンユーザー」を追加したところ、全く同じ流入条件・年齢・性別であるにもかかわらず、コンバージョンユーザーと非コンバージョンユーザーの動きがまったく異なっていたことがわかりました。
<図7:コンバージョンユーザーと非コンバージョンユーザーの注目度の比較>
※デザインはあくまでイメージです。
そこで、非コンバージョンユーザーの注目度やスクロール率に最適化したページ構成に変更を行うことで、これまで獲得できていなかったユーザーも獲得ができるようになり、コンバージョン率の改善を実現しました。
ケーススタディ3(GoogleアナリティクスとPt-engineの両方を用いた改善の場合)
→Googleアナリティクスによる属性データ抽出をベースとした、セグメントされたヒートマップデータでの最適化
最後に、骨董品買取業の集客用LPを運用されているC社様の例となります。
元々は、自らキーワードを検索している顕在層のユーザーに対しての獲得LPとして運用していたLPでしたが、記事広告も同時に運用することで、潜在層にまでリーチできる網を広げ、より多くのCV獲得を目指していました。
しかし、記事広告を開始してから獲得効率が下がってしまい、原因究明のためにヒートマップ分析を行ったところ、それぞれの広告手法で流入しているユーザーのページで注目しているコンテンツが全く異なることがわかりました。
より幅広いユーザーへのリーチのために、検索広告と記事広告の2つの広告施策を同時に展開し、1つのLPに対して2つの入り口を用意していましたが、異なるニーズを持つユーザー層に対しては、効果が薄いことがわかりました。
そこで、潜在層ユーザーの注目度の高いコンテンツをページ上部に配置した「潜在層向けに最適化したLP」を用意してあげることで、記事広告から流入したユーザーの獲得効率が改善し、プロジェクト全体の獲得効率の底上げに成功しました。
<図8:流入とLPの交通整理>
※デザインはあくまでイメージです。
最後に
今回はLPOに活用できる解析ツールのご紹介とその活用方法についてご紹介させていただきました。
もちろん、今回ご紹介した解析ツール以外にも、LPOに活用できるツールはあると思います。冒頭で述べた通り、LPO場面での解析ツール選びで必要なのは「どのようなユーザーが」「どのような動きをしているか」を見える化することです。
上記ツールに限らず、案件1つ1つに最適な解析ツールを選択し、LPOサイクルをよりスピーディーかつより高精度に回していくことが重要となりますので、今回ご紹介した考え方が、今後ますます活性化していくLPOの参考になれば幸いです。