KAIZEN REPORTブログ
2025.1.31 | アクセス解析の改善
【2025年版】LPのA/Bテストに「リダイレクトテスト」が推奨される理由
ランディングページの検証を行ううえで欠かせない「A/Bテスト」。以前はあまり馴染みのない概念でしたが、今では知らない人の方が少ない成果改善の検証手法として、広くWebマーケティングの世界に定着しています。
そんな「A/Bテスト」ですが、実はいくつかの手法が存在するのはご存知でしょうか。
採用する手法によっては、ユーザー体験に影響が出るものもあり、LPの成果に影響を与えることもあります。そのため、適切なABテスト手法を選択することがLPのコンバージョン率最大化の鍵であり、今回は、それらの手法の中で特に実用的だと思う「リダイレクトテスト」についてご紹介します。
目次
「非リダイレクトテスト」と「リダイレクトテスト」の違い
2024年現在、LPの検証時に用いられる主流な手法は「非リダイレクトテスト」と「リダイレクトテスト」の2つがあります。
いずれも「2つのデザインを同時に運用して成果を比較する」という“基本構造”は同じですが、その手段が異なります。
「非リダイレクトテスト」とは
具体的には、「1つのページの中に2つのデザインを擬似的に用意し、出し分ける」という方法になります。
特徴としては、キャッチコピーの別パターンや写真の別パターンなど、パーツ単位でのピンポイントの検証内容に絞ってのテストとして最適です。
例えば、キャッチAパターンとキャッチBパターンで該当ページに訪れた人に、ランダムにページが表示され、どちらがパフォーマンス(コンバージョン率)が高いかを見ることができます。
「非リダイレクトテスト」においては、直接的にソースコードには手を加えずに、A/Bテストツールの機能で見た目上のテキスト等を擬似的に実装してテストを行います。そのため、テストパターンをスピーディーに用意し、ツール上の操作だけで簡単にテストができるというメリットがあります。
<ポイント>
・同一URLでのテストパターンの出し分けを行う。
・キャッチコピーや写真などパーツ単位のテストに向いている。
・オリジナルに対して、大きな変更案をテストパターンとして用意したい場合には向いていない。
・ソースコード上の変更は基本なく、オプティマイズの編集機能を活用してパーツを用意する。
(※厳密に言えば画像はアップロードが必要。)
「リダイレクトテスト」とは
「リダイレクトテスト」は、複数のパターンの出し分けによるテストという点では変わりませんが、大きく異なるのがURLの異なる別のページを用意するという点になります。
その意味では、パーツ単位のテストではなく、URL単位のテストと言えば良いかもしれません。
オリジナルページに対して、変更・改修をしたい箇所を企画し、実際にデザイン・コーディングを行って別URLとして用意する作業が必要になります。
そのため、「非リダイレクトテスト」ではソースコードに手を加えないことに対して、リダレクトテストにおいては、実際にソースコードを直接編集して別のファイルを用意するという点での違いもあります。
当然ながら、別URLのテストページを用意する必要があるため、「非リダイレクトテスト」に比べると、実際に手を動かす範囲が広くなり、作業工数が自ずと発生します。ただしその分、A/Bテストツール固有の編集機能の制限や制約を受けずに自由に企画・設計や実装が行えるため、軽微なレベルでの改修に限定せずに、大幅な改修案まで、実施したいテストレベルのコントロールが可能になります。
<ポイント>
・異なるURLでテストパターンの出し分けを行う。
・パーツ単位のテストではなく、URL単位のテストになる。
・軽微な改修レベルのテストから大きな改修レベルのテストまで自由に決めて実施できる。
・実際にデザインやコーディングを行う工数が発生する。
こうして、それぞれのテストには特徴や違いがありますが、実際にLPの検証では圧倒的に「リダイレクトテスト」での検証の方が、相性が良いというのがコンバージョンラボとしての実感です。
次の章では、LPの検証(LPO)で「リダイレクトテスト」が実践的だと感じる理由をお伝えします。
LPOで「リダイレクトテスト」が実用的な3つの理由
先に述べたこととも重なる点もありますが、「リダイレクトテスト」が実用的だと感じる理由は大きく3つあります。
①軽微なものから大きなものまでテストの改修レベルをコントロールできる。
②テスト結果を本番環境に反映する流れを組みやすい。
③URLを分けたほうがページごとに計測・分析がしやすい。
①軽微なものから大きなものまでテストの改修レベルをコントロールできる。
テストの改修レベルのコントロールについては、前述のそれぞれのテストの特徴にも記載しましたが、実際のソースをいじらずにABテストツールの編集機能でできるテストの改修範囲は限定的になるため、新しいコンテンツそのものを直接付け加えたり、テストページだけページ内遷移用のナビゲーションメニューを実装したり、特定セクションの大幅なレイアウト/デザイン変更をしたりなど、デザインのトンマナを変更してみたりなど、分析から思いついたアイデアを自由に非リダイレクトテストで実現する場合には、なかなか難しいと感じることがほとんどです。
対して、「リダイレクトテスト」では元々のソースコード自体を編集しますので、制約条件がない分、一定期間の流入データによる分析結果から導き出された大小様々な改善施策を、実際に実装することが可能になるという大きなメリットがあります。
様々なレベル感でのテストを行えることで、多角的な視点で効果を見定めていくことができるため、それだけ長期的に成果が出やすいページへと昇華させていくことができるのです。
②テスト結果を本番環境に反映する流れを組みやすい。
「リダイレクトテスト」の作業は、実際のテストページを用意するにあたり、デザインやコーディングを行う工数が発生する点で、「非リダイレクトテスト」の場合よりも準備段階で手間がかかるかもしれません。
しかしながら、ここが盲点になりやすいところですが、「非リダイレクトテスト」の場合は、テスト結果が出た後に、効果の出た改修内容を実際のソースコードにも反映しなければならないという作業が発生します。そのため、当然ながら、改めてデザインやコーディングを行う工数が発生しています。
であれば、予め別のURLで用意しておけば、テスト終了後にオリジナルページが勝った場合は、そのままで変更せずに、テストページが勝った場合には、テストページの内容をオリジナルページのURLに上書くことで本番環境への反映ができます。
つまり、「非リダイレクトテスト」の場合ですと、A/Bテストツール上でテストパターンを用意して試し、実際に勝ったほうを改めてデザイン・コーディングするという点で二度手間が発生しますが、「リダイレクトテスト」であれば元々用意してあったファイルを差し替えれば良いという1ターンの作業で本番環境への反映が可能になります。
それでいて、前述のようにテストの改修レベルも自由に設定できるため、制約のない本格的なLPOを実現できるというメリットがあると実践を通して感じます。
③URLを分けたほうがページごとに計測・分析がしやすい。
Googleアナリティクス4やヒートマップツールなどの解析ツールでは通常URL単位での計測となるため、「非リダイレクトテスト」の場合、同一URLでのオリジナルとテストパターンの出し分けとなるため、オリジナルとテスト両方の影響を受けた合算の計測データになってしまい、正確な分析が難しくなってしまいます。そのため、特別な方法を使って、A/Bテスト期間中の様々なデータを出し分けて分析をしていく必要があるため、分析の難易度が上がってしまいます。
そのため、URLごとにテストできた方が、正しい計測と簡単に詳細な分析ができるという点でも「リダイレクトテスト」のほうがLPOと相性が良いと感じる理由がここにもあります。
最適なA/Bテスト手法の選び方
このように①本格的なウェブテストの実施→②正確な計測と詳細な分析→③スムーズな本番反映→④改修レベルを限定されない実装→そして、次のウェブテストの実施というLPOのサイクルをうまく回していくには、「リダイレクトテスト」のほうが最適な側面があります。
もちろん、例えば、メインビジュアルだけパターンを変えて、一旦テストをしてみたいなどの判断で、今回は「非リダイレクトテスト」で実施するなどの判断もあるかと思います。
念頭に置いておきたいのが、テストを実施した後の段取りや改修レベル感を踏まえて、今回は、「非リダイレクトテスト」が最適なのか?それとも「リダイレクトテスト」が最適なのかを自社の運用体制と合わせて選択できるかどうかだと思います。
今回の記事では、あまり取り上げられることのない、「非リダイレクトテスト」と「リダイレクトテスト」の違いについて弊社の考察を整理させていただきました。
貴社のLPOやランディングページの運用改善に活かしていただければと思います。
また、弊社ではクライアント様の運用状況を踏まえて、最適なテスト手法のご提案を実施していますので、「自社のLPにはどんな手法が最適なんだろう?」とお悩みの場合はどうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。